押入れって布団や座布団を収納する以外に収納スペースとしては使いにくいイメージが強くないでしょうか?
最近では、簡単なアレンジをして収納スペースではなく書斎スペースとして使う楽しみ方が人気です。
パソコン作業や読書などは半畳程度の広さでも十分にできますし、何より増築をしなくても書斎が作れるというのがうれしいですよね。
書斎が欲しいけど、自宅にスペースがないよー
押入れを有効活用できていないから、子どもの勉強スペースに改造できたらいいな
本記事では、筆者が実際に押入れを書斎スペースに改造した手順を解説します。
本記事を読むことで、
- 押入れを解体する方法
- 押入れをミニ書斎にする方法
- 押入れの上段の活用事例
- 押入れの下段の活用事例
がわかります。
今回はDIYで押入れをミニ書斎に改造する方法をご紹介します。
必要な道具、材料
電動工具があると作業効率が全然違いますので、最低限インパクトドライバーくらいは持っておいた方が良いでしょう。
「高い工具をいきなり買うのはちょっと」という方は、ホームセンターによっては貸し出しサービスを行っているお店もありますので、まずはお試しに借りてみると良いでしょう。
- インパクトドライバー、または電動ドライバー
- ドライバービット、ドリルビット
- 丸ノコ(手ノコしか持っていない場合は、ホームセンターのカットサービスを利用しても良いです。)
- メジャー、さしがね
- バール、または釘抜き(押入れの解体で使用します。)
- ハンマー、または金づち、玄翁(げんのう)など(押入れの解体で使用します。)
- 材木(杉板、合板、フロア材、ツーバイ材、ワンバイ材など)
- 机の天板の素材(一枚板、集成材、メラミン化粧板、タイル、ガラスなどお好みで選択)
- 金物(木ネジ、スライド丁番など)
- 塗料(ワトコオイル、ブライワックス、ペンキなど)、または壁紙
- 塗装用のハケ、または壁紙施工道具(ハケ、ローラー、カッターなど)
- オービダルサンダー、またはサンドペーパー(塗装前の仕上げ用)
- コンセント、スイッチ、照明器具、電線など(施工には電気工事士の免許が必要です。)
押入れのサイズを確認する
押入れのサイズは住宅のつくりや間取りによってもまちまちですが、一般的によくあるのは、間口(幅)が1間(いっけん、181.8cm)、奥行きが半間(はんげん、90.9cm)、高さは230cm程度です。
通常、押入れは中段(なかだん)によって上下2段に仕切られており、サイズは下の段が高さ約70cm~80cm、上の段が90cm~100cm、さらにその上に内側に枕棚(まくらだな)がつくか、または外側からも使える天袋(てんぶくろ)がつきます。
わが家では、寝室の押入れの扉を取り外してベッドを押入れにピッタリとくっつけた配置にしていましたが、次のような使いにくさがありました。
- 上段は、カラーボックスを置いていたが、奥行きがありすぎて、手前のスペースが有効活用出来ていなかった。
- 下段は、中板とベッドの35センチの隙間から物を出し入れしていたが、間口が狭くて奥行きが広いのでとても使いにくかった。
- 天袋は、高くて奥行きがありすぎるので、ベッドの上に立っても奥まで手が届かなくて使いにくかった。
寝室の押入れは半間サイズで、幅は80cm、高さは天袋50cm、上段100cm、下段80cmです。
天袋は、わが家では、『収納兼天井裏収納への出入り口』として使用しています。
天井裏収納に入るときに毎回天袋によじ登るのはとても大変なのですが、天袋をつぶして吹き抜け状態にしてしまうと、天井が高すぎてはしごが無いと天井裏に入れなくなり、はしごを設置すると、書斎として使用できるスペースがかなり減ってしまうため、今回は天袋はそのまま使う方法でやります。
天袋がなくなっても問題ないよーという方は、天袋をつぶしても良いでしょう。
押入れをミニ書斎に改造する【実例】
押入れを解体する
まず、押入れの襖(または扉)を取り外します。
次に、押入れの中段板を金づちとバールを使って取り外します。
- 雑巾摺り(ぞうきんずり)をバールで外します。
押入れの壁際に取り付けられている巾木のような部材のことを、雑巾摺りといいます。
雑巾摺りの下にバールを入れて、押し上げます。
釘の頭が浮いたら、バールで抜きます。左右、奥と3ヶ所を同じ手順で外します。 - 中段板を外します。
中段板は根太に釘留めされています。
裏側から根太に沿って釘の近くを狙って金づちで叩いて釘を浮かせ、バールで抜きます。 - 根太を外します。
根太は前後の框(かまち)に釘どめされています。
根太の框(かまち)に近い部分を下から金づちで叩いて外します。
中段板が乗っていた補強材のうち、前框(まえかまち)、後框(うしろかまち)、左右の壁際の部分の根太はそのままにしておきます。
その他の根太は、書斎机には必要ないため、すべて取り外します。
取り外した根太は、天袋の根太と同じ長さなので流用して、天袋の補強のため本数を増やすのも良いでしょう。
前框(まえかまち)は、後ほど加工しますが、この時点ではそのままの状態で残しています。
押入れの防音処理をする
必要に応じて防音処理を施していきます。
左手の壁の反対側は押入れ、右手の壁の反対側は屋外なのでさほど防音は必要ないのですが、奥側には部屋があるため、奥側だけは遮音シートと古布で防音処理をしました。
写真には少ししか写っていませんが、下段も同様に防音処理をしました。
横胴縁(よこどうぶち)として、木口寸法27×40mmの角材の両端を15mm切り欠いたものを上段と下段に各3本ずつ使用しました。
この後、奥側には5.5mmのベニヤ板で新しく壁を作りました。
押入れ書斎机の天板を取り付ける
上段は中段板が乗っていた材(前框、後框、根太)を利用して書斎机の天板を取り付けました。(天板の表面にはキッチンパネルを貼っています。)
写真は、この後取り付ける予定の棚板の支えとなる棚の側板を左右の壁際に置いて、31.5インチのPCモニターが入るかどうかを確認しているところです。ピッタリとはまっています。
- 書斎机の天板を25mmの杉板を加工して作りました。
- ベッドに座らなくても押入れ内に椅子(スツール)を置いて、机として利用出来るように、天板を人が1人入れる大きさ・形にカットしました。
- 天板の表面にキッチンパネル(アイカセラール)を貼りました。貼る前に丸ノコでカットしますが、キッチンパネルは粉塵が凄いので、屋外で切ることをお勧めします。カット後、天板に両面テープとボンドで貼りました。
- 写真は31.5インチのPCモニターを置いてみた様子です。
- 写真では天板の木口(こぐち)は杉板がまる出しですが、この後、小さくカットしたキッチンパネルを貼って仕上げました。
なお、写真には写っていませんが、そのまま残していた前框(まえかまち)は、机の天板をくり抜いた部分に合わせて切断します。
天板にキッチンパネルを貼るのはちょっと…という方は、デスクマットを敷く方法が手軽にできてオススメです。PVC製のマットは質感も良いのでオススメです。
押入れの下段の床と壁を作り込む
床はフローリング板を貼り、壁にはコンセントを取り付けました。
- 床にフローリング板を貼ります。
- 3方の壁に合板を貼ります。合板のコンセントや壁スイッチを付ける位置に穴を開けておきます。
- コンセントを左右に数ヶ所、配線し、取り付けます。
- 照明の壁スイッチを左手前に1ヶ所、配線し、取り付けます。
- LANコンセント1ヶ所、TVアンテナコンセント1ヶ所を配線し、取り付けます。
(※電気工事は電気工事士の免許が必要です。)
下段は、右側に棚を作りデスクトップPCの本体、BDレコーダーなどを置いて、奥側の壁には19インチの液晶TVを壁掛け、LED照明器具を設置する計画です。
また、押入れ内にはコンセントがないため、新たに取り付けます。
ついでに、LANコンセント、TVアンテナコンセント、照明の壁スイッチも取り付けます。
なお、この写真の上の左右に写っている木材は、机の天板をくり抜いた部分に合わせて切断した状態の前框(まえかまち)です。
わが家の場合は机の天板をくり抜いて押入れ内の床に椅子(スツール)を置きますが、押入れと部屋をまたがってキャスター付きの椅子を置く場合は、境にまたがるようにフロアマット(チェアマット)を敷くと段差がカバーでき、椅子のキャスターで床が傷むのを防ぐことができます。
上段の奥側に戸棚を作る
写真では、正面奥に31.5インチのPCモニターを置いています。
わが家の押入れにピッタリのサイズ感です。
計画では、さらに左右の壁に各1枚ずつと上に2枚、合計5枚のPCモニターを使えるように考えています。
このあと、モニターの重さに耐えられるように、左右の壁に合板を貼って補強していきます。
また、上にモニターを取り付けることができるように、上の棚には扉を付けて戸棚にします。
- 左側の壁材は石膏ボード、右側の壁材は薄いベニヤ板だったため、PCモニターを壁掛けにする強度がありません。そのため、左右の壁に12mmの合板を貼り、補強します。(写真は、百均の突っ張り棒を使って木工用ボンドが完全に接着するまで固定しているところです。)
- 正面のPCモニターの上に2段の棚を作ります。
- 白色の塗料で棚と天井を塗ります。
なお、写真の下の部分は、書斎机の天板の木口(こぐち)に、カットしたキッチンパネルをボンドで貼って養生テープで固定しているところです。
上段の天井に照明器具をつける
上段の天井には、LED照明器具を配線して取り付けました。
この製品は、コンパクトで軽く、とても明るいので気に入っています。押し入れの奥行きにも丁度良い長さです。
上段の照明器具を取り付ける手順は、
- 天井になる天袋の板と根太を白色の塗料で塗ります。
白は反射率が高いので。照明がよく反射して明るさ感がアップします。 - 百均のワイヤーネットを天井一面に取り付けます。取付方法は、L型金具を付けるか、または天袋の根太にドリルで穴を開けて、結束バンドで固定します。
ワイヤーネットは、色々なものをひっかけて吊るすことができますので、とても便利です。 - LED照明器具をワイヤーネットの上に置き、壁スイッチと配線します。
棚に扉をつける
扉を取り付けた手順は、
- 棚に扉を取り付けるための柱を4本取り付ける。
- 通常の扉は棚の側板にスライド丁番を使って取り付けますが、その方法だとPCモニターを扉に取り付けた場合、扉を全開にすることができません。
- PCモニターの厚み分だけ内側に柱を取り付けて、その柱に扉を取り付けることで、PCモニター付きの扉が開くようにします。
- 扉に配線用の穴を開ける。
(扉は二重構造にし、外側の板はPCモニターが下から見えやすいように傾斜をつけます。) - スライド丁番で扉を柱に取り付ける。
- 壁掛け金具を扉に取り付ける。
- PCモニターを取り付けます。
下段の右側に棚を作る
残した前框には、書斎机の天板の手前側を支える役割を持たせています。
しかし、途中で切断したため、右手前側は上からの荷重にそのままでは耐えられません。
そのため、この前框を支える壁を板で作りました。
- 前框をカットしたため、机の右前側が上からの荷重に弱くなりました。
- そこで、厚めの板2枚を使って、切断した前框を支える壁を作りました。
- この壁を利用して、下段の右側に棚板を1枚取り付けました。
下段の右側には、棚を作りました。
下段の右奥には、普段使用しているデスクトップPCの本体を置きますが、その上の空間がかなり残るので、この空間を有効活用するために棚を作ります。
棚の上にはBDレコーダー、PC周辺機器、有線LANスイッチングハブ、小型のゴミ箱などを置いています。
棚を手作りするのが面倒な方は、このような市販の棚を置くのもオススメです。
下段に照明器具を付ける
下段は部屋の照明、押入れ書斎の上段の照明のいずれも光が届かずとても暗いため、下段専用の照明器具を付けることにしました。
使ったのは上段と同じLED照明器具です。
配線はあらかじめしてあるので、壁スイッチと照明器具を接続し、器具を奥の後框(うしろかまち)に固定して完了です。
TVを壁掛けにしてベッドに寝転んだ状態から見えやすいようにしています。
机の天板の切り欠き部分のおかげで、ベッドに座って目線が上になった状態からでもTVがよく見えたのは嬉しい誤算でした。
TVの手前には足を温めるヒーター(スマーティ Leg Hot)と椅子(スツール)を置いています。
まとめ
これでミニ書斎は完成です。
押入れをミニ書斎にする方法は1つではありません。この記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。
私は電気工事士の資格を持っているので自分で電気の配線やコンセント、照明の取り付けをしましたが、電気工事士の資格がない方は配線に関わる電気工事は決して行わないようにしましょう。
パソコンやデスクライトなど、どうしても電源は必要になるので、電気工事士の資格は持っていないという方は、
- 延長コード
- ケーブルボックス
- ケーブルカバー
こういったものを使って、なるべく目立たないようにうまく電源を確保しましょう。
DIYは、色々と構想を練るところも楽しいですし、作る作業も楽しみながら出来ますし、費用もリフォーム業者に依頼するよりはるかに安く済ませることができるので最高ですね。
持ち家でなければここまでの改造は困難ですが、賃貸物件でも原状回復に配慮して工夫をすれば、ミニ書斎DIYは十分可能です。ぜひチャレンジしてみてください。
それでは!