「年々、家財道具がどんどん増えて収納スペースに困っている。」
「物が増えすぎたのでもう一部屋欲しい。」
そう思っている方は多いことでしょう。
そんなときは屋根裏を活用して屋根裏収納を作るのがオススメです。屋根裏をリフォームすると、デッドスペースを収納やお部屋に活用することができます。
屋根裏収納の新設工事をリフォーム業者に頼む場合に掛かる費用は、6畳で30万円程度が相場です。この工事には、天井の開口工事、屋根裏までのはしごの取り付け、床施工、換気扇、コンセント、電灯の取り付けが標準的なものとして含まれます。また、屋根裏部屋の場合は、6畳で75~120万程度が相場です。
屋根裏収納を作る場合と屋根裏部屋を作る場合では大きく費用が異なりますが、その差の1番の要因は断熱工事をするかしないかにあります。屋根裏は非常に熱がこもりやすく、夏場はサウナ状態になってしまいます。部屋として使う場合は断熱工事は必須です。
屋根裏収納を作る場合でも断熱工事はした方が良いのですが、費用が高いため、断熱工事まではしないのが現状です。換気扇は付けた方が良いでしょう。
屋根裏収納をDIYで作ることができれば、材料費だけで済みますので、コストを少なく抑えることが可能です。
今回は屋根裏収納を自作した方法を紹介します。
必要な道具、材料
- 電動インパクトドライバー、または電動ドリルドライバー
- ドライバーピット、ドリルビット
- 丸ノコ
- 材木(杉乾燥角材、合板など)
- 金物(木ネジ、釘など)
- 敷物(パネルカーペットなど)
- 換気扇、ダクトなど
- はしご
屋根裏収納を作る手順【実例】
天井点検口から、または押入れの天井の板を押し上げて屋根裏に入って、屋根裏の状態を点検します。梁や釣木(つりき)の位置を見て、屋根裏収納の床を作る位置や広さを考えます。同時に、はしごまたは固定階段を取り付ける位置を考えます。
わが家は軽量鉄骨造なので、梁はH形鋼です。
野縁(のぶち)や天井板は吊り下げられている程度で強度が弱いため、絶対に踏まないようにしましょう。移動するときは太い梁の上だけを歩くようにしてください。
屋根裏収納は、次の基準を満たした場合は、階とみなされず床面積にも算入されません。床の高さや広さを考えるときはこれらの基準を念頭に置いて考えましょう。
- 面積が直下階の2分の1未満
- 最高の高さが1.4m以下
また、固定階段を禁止している市町村もありますので、固定階段の設置を検討するときはお住まいの自治体に確認しましょう。
はしごを取り付ける位置を決めたら、天井を開口してはしごを取り付けます。取り付けるはしごの種類によって、開口部の大きさが変わってきます。
はしごには大きく分けて2種類あります。
- 普通のはしご
- 収納式のはしご
1つ目の普通のはしごは、普段は壁面に立て掛けておくか、または近くの壁面に設けたバー(パイプ)などに掛けておき、使用時にそのはしごを持ち上げて上部のバー(パイプ)に掛けて昇り降りするもので、ロフトに設置されるケースが多いタイプです。オリジナルで造作する場合もありますが、建材メーカーからも製品として発売されています。はしごを引っ掛けるバーの位置やはしごの幅にも寄りますが、開口部は60cm×60cm程度の小さいサイズでも設置が可能です。しかし、あまり開口部が小さいと大きい物を運び入れることができないため、使い勝手が悪くなります。
2つ目の収納式のはしごは、普段は天井裏に隠れるようにはしごを折りたたんで収納しておき、使用する時に専用の開閉棒で天井から引き出すため、場所も取らず便利です。建材メーカーから製品として発売されています。開口部の大きさは、使用する製品の外枠のサイズに寄りますが、65cm×125cm程度のサイズが必要です。
はしごを取り付ける位置が決まったら、取り付けていきます。大まかな手順は次のとおりです。
- 天井を開口する
- はしごを取り付ける位置を補強する
- はしごを屋根裏へ搬入する
- はしごを固定する
収納はしごを取り付ける方法と実例について解説した記事はこちらからどうぞ。
ホームセンターなどで2mの長さの45mm×45mm角の杉または米松の乾燥角材を買ってきて、長い状態のまま開口部から屋根裏に搬入します。搬入した角材をH形鋼の梁と梁の上に約45cm間隔で必要な数だけ渡します。
梁と梁に渡した角材の上に合板を貼っていきます。ホームセンターで売っているサブロク板[910mm×1820mm]のままでは大きすぎて屋根裏に搬入できないときは、搬入できるサイズに小さくカットしてから搬入します。
床がないと座ることもできないので、とりあえず作業スペース分の床を作ります。
用意した角材と合板を使って床を貼っていきます。(合板を木ネジで45mm×45mmの角材に留めます。)
邪魔なところにある釣木はカットして不要な上の部分を取り外し、新たに釣木受けを作って、残った釣木を釣木受けに釘で固定します。
屋根裏の垂木(たるき)は表面がガサガサしていたり、野地板(のじいた)から釘が飛び出しているところもありますので、ケガ防止のためにベニヤ板を貼ります。サブロク板[910mm×1820mm]のままでは屋根裏に搬入できないときは、垂木の間隔と同じ幅にあらかじめカットしてから搬入すると後の作業がスムースに進みます。一般的に垂木は45cm間隔で設置されていることが多いですが、必ず実測してからカットしてください。
さらに予算を掛けても良い場合は、内側に断熱材を入れると良いでしょう。
換気扇はダクト用換気扇(メーカーによって天井埋込形換気扇と表現されますが、基本的に同じものです。)を用意します。
ダクト用換気扇には、本体を天井に埋め込みグリルのみ露出するタイプと、全て天井内に埋め込むタイプがありますが、どちらでも使えます。
ダクト用換気扇は吸い込んだ空気をダクトを通じて屋外へ吐出しますので、プロペラファンを使用した一般換気扇と違って壁付け以外の自由な位置に取り付けが可能ですが、換気扇を取り付ける部分が、斜めのままでは取り付けられません。
まず、端材を三角形に加工したものと「チャンネルハンガー」で換気扇を吊るためのロングネジの受けを作ります。「チャンネルハンガー」を地面に対して水平に取り付けることが重要なポイントです。
次に、換気扇に2か所「ナット付き吊り足」を取り付け、ロングナットとロングネジで換気扇を水平が保たれるように天井から吊るします。
最後に、ロングナットで微調整をして水平器で水平を確認し、換気扇本体の取り付けは完了です。
ダクト換気扇で吸い込んだ屋根裏の空気は、ダクトを通って換気口から屋外へ吐き出されます。
換気口はあらかじめ軒天に取り付けておきます。軒天の材料はケイカル板が使用されていることが多いですが、ケイカル板は換気口を取り付けるための丸い穴を開けるときに割れてしまうことがあります。そんなときは、軒天を一部取り外して、ベニヤ板を塗装したもので代用します。ベニヤ板なら換気口を取り付ける加工も容易です。
ダクトは、基本はスパイラルダクトを使用し、やむを得ない部分のみフレキシブルダクトを使います。
換気扇の吐出し側を、スパイラルダクトとフレキシブルダクトを使って、屋根の端の隙間からあらかじめ軒天に取り付けておいた換気口へ接続します。屋根の端の隙間が狭く管が外へ出せない場合は、スパイラルダクト継手 片落管(100×75)を使用してフレキシブルダクト75mm径につなぎ換えて軒天に出した後に再度100mmに変換して換気口に接続します。
2部屋換気用の換気扇は、副吸い込み側アダプタにもダクトを取り付けることができます。換気扇1つで屋根裏の2か所から熱気を吸い込むことができるのでオススメです。
なお、電気配線は電気工事士の免許が必要です。免許を持っていない方は自分で工事をしてはいけません。
H形鋼の棟木(むねぎ)に強力マグネットで台所用の照明を取り付けました。
なお、電気配線は電気工事士の免許が必要ですので、免許を持っていない方は自分で工事をしてはいけません。
収納なので床が合板のままでも構いませんが、合板は表面がガサガサしており使用中にケガをすることがあります。
そこで、床にタイルカーペットを敷きました。いつでも部分的に剥がして床下をメンテナンスすることができるように、ボンドなどで接着はせず、置くだけにするのがオススメです。
以上で屋根裏収納の基本部分は完成です。
まとめ
今回は、屋根裏収納を作る方法について解説しました。
このように屋根裏のデッドスペースは、狭い中での作業になることが多く大変ですが、DIYでも収納に作り替えることができます。ただし、夏場の作業はとても暑いためオススメしません。
また、『STEP1屋根裏を点検する』でも触れましたが、固定資産税がかからないようにするためには、面積2分の1未満と最高高さ1.4m以下の基準を超えないように作る必要があります。
皆さんもぜひチャレンジしてみてくださいね。
それでは!